麻生先生、「第7回 女性のための 抗加齢医学研究会学術集会」開催!
平成20年6月1日(日)、初夏を思わせる陽気の中、女性と仕事の未来館(東京都港区)において、トータルライフクリニック本郷内科雷門分院の麻生佳津子先生が、理事であり学術集会会長を務める「第7回女性のための抗加齢医学研究会学術集会」が開催されました。
テーマは、「働く女性のハッピー&ビューティフルエイジング:実証から実践へ」で、150名もの参加者が熱心に聴講されていました。
プログラムの冒頭、麻生先生は会長講演――「心身一如・ストレスと自律神経」というテーマで講演されました。麻生先生が、日々、ペインクリニックで出会われる女性患者さんの背景には、女性の社会進出が当たり前となった現代において、職場での激務に加えて家事等で疲労困憊し、自律神経のバランスを崩して、様々な病的状態へと進行している方が少なくないことに、まず言及されました。そして、麻生先生自身が妻、母親、医師、嫁としての人生を体験されるなか、働く女性が元気で幸せであり、充実した日を過ごすことは、個人の問題であるばかりではなく、社会全体の重要な課題と考えるようになられた経緯が語られました。
そして、具体的には、健康な生活を営むための重要な柱として、1「心の安定と活力」、2「日々のライフスタイル(栄養・食事と睡眠)」、3「運動」があげられ、この内一つでも問題が生じると病的な状態に陥るリスクが高まること。しかも2と3における問題点においては、気づき改善することはできても、1の「心の安定と活力」には現代社会で増幅しているストレスが大きく影響しており、対応策を見いだすことは容易ではないと語られました。
そして、麻生先生が「心の安定と活力」を求めたきっかけとなった、ご自身の病気体験談へと話が進みました。23年前に罹患されたTIA(一過性脳虚血発作)を通して「何のために生まれてきたのか」「これからどのように生きてゆけばよいのか」と自問する日々を過ごされ、その解答を求める過程で出会ったのが、高橋佳子氏の提唱するTL(トータルライフ)人間学だったとのこと。その理念の中から、病気には意味があり“呼びかけ”であることを実感されたということでした。
そして、講演タイトルにある「心身一如」とは、心と身体は一体でつながっているということ。即ち、無自覚に動いている「心」は出来事をストレスと捉えると(同じ出来事に出会ってもストレスにならない人もいる)、自律神経は即座に緊張し発汗(手に汗を握る。冷汗をかく)し、血管は収縮する。その結果血流は減少し、この繰り返しにより全身の循環は悪くなり病気へと向かう、という観点から、「心」と自律神経も直接つながっていることを、実感を基に語られました。その上で、出来事で生じるストレスにさらされている日々、無自覚に動いている「心」を見つめ、心の動きを転換することが重要であること。そうすれば自律神経の緊張は軽減され、その心の安定がダイレクトに身体への活力へと転換でき、それが1番目の重要な柱でもある「心の安定と活力」そのものであることを、長年の診療実践から得た確信をもって述べられました。
後半は、2つの事例を通して、TL人間学による対話医療の実践は、病気の改善ばかりではなく、同時に、家族に現れている問題解決ともなり、患者さんの深い癒しへつながるという実感が、共感と共に会場全体に伝わってゆきました。
最後に、麻生先生は、「医療者が心を見つめ、自分が変わることで、関わり方が変わり、患者さんの癒しが起こる。そのことが医療者の使命であり、生き甲斐なのではないか」―と講演を結ばれました。
プログラムのしめくくりとしてのパネルディスカッションでは、パネラー間の討論と参加された方々との間での意見交換を通じて、心と身体のつながりをみる医療実践に多くの参加者が関心を示され、病気(臓器)だけを診る傾向の強い現代の医療に新しい風が吹いていることを感じました。