「第3回抗加齢臨床データ報告会」に参加して ―長屋先生からのレポート
東京は真夏日で、汗も乾くことのない暑い日々が続く8月4日(土)~5日(日)に、北海道は帯広空港からバスで1時間40分、大雪山系の山々の麓にある然別湖において、「第3回抗加齢臨床データ報告会」が開催されました。
帯広空港に降り立った瞬間、東京より-10度。然別湖ではさらに-5度で、暑さに弱い私は、まるで生き返ったように元気になりました。当日はあいにくの曇と霧雨でしたが、星降る湖と言われる美しい湖畔の風景は別天地で、見ているだけで心癒されるものでした。
観光ではなく、最新の臨床研究とデータの報告会のため、到着後すぐに研究発表会が開催されました。幹事の帯広にある満岡内科・循環器科クリニックの満岡孝雄先生の挨拶とアンチエイジング健診100例のデータ報告があった後に、「軽度認知機能障害(MCI)におけるエグノリジンSの効用について」というテーマで発表させて頂きました。
認知症は今や、世界的にも大変問題になっており、WHOは世界の公衆衛生の第一課題と提示しています。日本でもその数は200万人を超える勢いで増えており、後期高齢者の二人に一人は認知症を発症するとも言われています。しかし、認知症の発症と進行を予防する手立ては、まだ確実にはされていません。その中で、認知症に移行する前の軽度認知機能障害の段階での医学的な介入が、認知症への移行と改善につながる最も有効な方法であるとされており、当院でもエグノリジンSの使用と生活指導および心身両面のサポートを通して、改善した患者様がいらっしゃり、ご報告させていただきました。
エグノリジンSとは、卵黄と大豆由来のホスファチジルコリンというリン脂質の一種で、兵庫医科大学生理学教室の西岡教授の研究成果をもとに開発されたサプリメントです。学習改善効果と記憶改善効果を認めており、いくつかの認知症に対する改善効果も発表されています。
当日の参加者は、日本抗加齢医学会の理事や日本抗加齢医学会認定クリニックのドクターが集まっており、熱のある討論がされました。認知症については、皆様関心が高く、最新の認知症にまつわる知見に対する質問や、アルツハイマー病の方や主観的認知機能障害の方に使用してみての経験についての質問が殺到しました。実際に臨床の現場で苦労されておられるドクターが多いため、当院の取り組みに大変な共感と、実際に自院でも使用してみたい旨を語っておられ、幾人かのドクターから当院へ見学に行きたいとも仰っていただきました。
当日は、22時30分まで、翌日も朝9時から12時30分まで熱のある討論が続き、大変な勉強になり、また新しい取り組みへのチャレンジを喚起された合宿でした。ここでの体験を、現場の患者様に少しでも還元してまいりたいと願って、後ろ髪を引かれながら、美しい然別湖の大自然と別れを告げて、東京に帰ってまいりました。今後ますます努めてまいります。